日本パムコとニッケとの出会い
小川:日本パムコ(以下、「パムコ」と表記します。)がニッケグループの一員になり、今年で5年を迎えようとしています。今日は改めてパムコとニッケの出会いやこれまでの足跡を振り返り、今後の戦略や方向性を確認する場にしたく、対談の機会を設けました。本日はよろしくお願いします。
山﨑:パムコは千葉県市川市(以下、「市川市」と表記します。)が拠点で地域密着の事業だけど、元オーナーの志は高く、日本の介護を背負うという意味を込めてやってこられたとお聞きしたことがあるのだけれど。
江口:そうなんです。パムコの“Pamco”は「Pacific Atlantic medical company」の頭文字の略で社名には大きな思いが込められているんです。
山﨑:日本どころじゃないのね(笑)。私は以前、ニッケの介護施設運営会社であるニッケ・ケアサービス(以後、「ケアサービス」と表記します。)の運営を任されていたけれど、ニッケとは違うなあと感じました。パムコはニッケにないものを多くお持ちで、なかでも女性活用が先進的というのが特に印象的でした。ニッケの経営戦略は自社所有地での開発で、地域にOB・OGがすでにいて、ニッケファンが多くいるところで展開してきました。地元のファンをたくさんお客様として持っておられる会社さんと共に事業を行うことがニッケの経営戦略の一つであったので、パムコさんはぴったりだと思いご一緒させていただく形となりました。
小川:この会社に仲間になってもらおうって決めるってすごいことだなあと思いましたが、当時M&Aのご担当だった江口社長はそのあたりはどう思いますか。
江口:実はニッケとパムコはM&Aで初めて出会ったのではなく、ニッケのグループ会社が市川市で運営しているショッピングセンターであるニッケコルトンプラザ内で元オーナーが事業をされていたので、その縁もあり、ニッケも是非ご一緒したいとの思いがありました。いざ話を進めてみると地域的にも補完できる関係になっていましたし、事業体としても施設系の資産を使うケアサービスと人財を活かすパムコとの組み合わせがぴったりでした。お互いにやりとりをしていく中で、このような環境であれば良いシナジーが発揮できるのではないかという思いからスタートを切った次第です。私はその後、ケアサービスとパムコの経営を任されることになりました。これまでケアサービスが拠点としている愛知県一宮市・岐阜県各務ヶ原市・兵庫県加古川市に加え、パムコが加わったことで、確実に事業が広がっていく様子を現在ちょうど目の当たりにしているところです。
パムコと人財戦略
山﨑:施設系のケアサービスと人財サービスのパムコが一緒になることで、これからどんな化学反応が起きるのか楽しみです!パムコの人財、また求める人財について小川さんはどう考えています?
小川:私はパムコに来て3年程経ちました。元オーナーの時代からパムコには優秀な人が多いと聞いていましたが、まさに日々常々実感しています。いまの時代、ライフワークバランスというものがありますし、仕事とプライベートを区切る方向にあります。言葉にすると難しいのですが、みなとても良いバランスで仕事をしてくださっているし、みな仕事に、高齢者に真剣で、パムコに自信というか誇りを持っていると感じます。そのような方がとても多いと思います。元オーナーが女性活用を積極的に行うなど企業風土をとても上手に築いて来られたんだと痛感しています。
山﨑:宇野さんはどう感じますか?
宇野:私はパムコに来てまだ7年です。来た当初から考えると、モチベーションだったり、仕事に向き合う姿勢であったりが、良い方向に変化しているように感じます。どちらかというと当初は、やらされている感がありましたが、現在は自主的にチャレンジし前向きに取り組む姿勢に変わりつつあるような気がします。
山﨑:皆さんが自主的に自分たちの会社、自分たちの責任と受け止めてくれていることが、ほどよくバランス取れているのであれば、お客様は喜ばれるだろうし、事業も喜び、会社も喜ぶという三方良しですね。ただ、それをやり続けていくことは難しいですよね。私が現在、テニスやゴルフというライフサポート・スポーツ事業を管轄している中で、1番大切だと感じているのは、「高い認識力と権限委譲」です。自分たちで差配できないと考えないし責任も取らない。だから今後、そこをよく考えて進めていただきたいと思います。制度的なこともきちんと整えないといけない。目の前のことを一生懸命やっているだけでは面白くなく、ちゃんと成長して次につながる人事ができることが重要だと思います。ニッケは次世代につながる人事をやってきたと思っているので、是非お願いしたいですね。
小川:私は以前ケアサービスで施設開発もさせていただいて、その時は現場のスタッフがとにかく使いやすいものをという視点でやっていました。その中で良い文化を作っていかねばならないことだと思っていました。いまパムコで楽しいと思うことは、小さい事業所が複数あって、マイナーチェンジがしやすいことです。これを考えてやっていくことによって、権限委譲はしやすくなると思います。1つ事業所を変えてみようだとか、そこに人を1人つけてみようだとか、ケアマネージャーだったらそこに福祉用具・販売をもってこようだとか・・・そういう意味でよりチャレンジ・何かやりたいという人には、その可能性を与えやすいのが楽しいです。また、市川市というエリアを中心に事業展開していく中で、地域に必要なサービスを考えられることが楽しいですね。一方で難しさもあります。この業界は変化が激しく、昔だったら福祉事業といえば自己犠牲が当たり前でしたが、今はそうではありません。ニッケグループは、個人企業では出来ないいろいろなノウハウや経験値を入れることが可能なので、それがとてもプラスです。
市川市以外への進出
小川:福祉用具貸与において、これまでは地域密着で、市川市で事業展開していましたが、同業他社の多い船橋市への進出をチャレンジしました。船橋事業所を立ち上げた宇野グループ長はどのように考えて、今後どうしていきたいですか。
宇野:在宅の事業はいきなり進出し事業を拡大することは難しいと感じています。本当は短時間で結果が出せれば理想的ですが、じっくりと種をまき、いまやっと船橋の営業所で成果が出てきている状況です。市川市を中心に事業展開する中で、高齢者の皆さんはとても小さいコミュニティの中で生活されていて、自分の生活圏があるところというだけで、それだけで安心感というのがすごくあって、そういう場所に拠点が構えられれば、たとえ時間がかかったとしても地域に受け入れられると感じており、その点に面白さを感じています。
山﨑:部下の育成や仲間を増やしていく面白さもありますよね。何を大切にしていますか。
宇野:基礎の部分は、多少うるさいなと思われても徹底してやっています。基礎は作ってあげないといけないと思っていて、そこは私の役目であると痛感しています。
山﨑:営業所を訪問した際、「今日の目標」というものを明確にして掲げていて、勢いを感じてすごいなって思いました。しかし、数字面だけではないと思っていて、プロセスはどうなっていますか。
宇野:頭ごなしに私が指示してもその内容が入っていかないと思うので、指示内容の背景や理由は丁寧に説明しています。それぞれが営業員として活動するために、きちんとした知識が必要ですし、活動領域の最低ラインを高い水準で作ってあげたいと思っていて、そこから先は各々自分の色でどんどんカスタマイズしてやっていってもらえたらというスタンスでいます。
山﨑:パムコの良いところは、そういったちょっとした先輩や中間層がいるということが新しい人が入ったときに迷わないんだと思います。ひとりにならない、困ったときに話ができる人がいるから、苦しい時にそれを乗り越えられるのかなと。
宇野:そうですね。比較的みな面倒見がよくやっているように思います。課題としては中間層の後輩たちにしっかり指導ができたり、引っ張っていける人財をもっともっと増やしていかなければいけないと感じています。その中で、本当に若い人たちが入ってきたときに、自分の進むべき道について、いろいろな人がいると、いろいろな選択肢があって、こういう風にしてみたい、ああいう風にしてみたいがあって、そこに自分の色をエッセンスとして加えていくことで、いろいろな営業員が生まれれば面白いなと思います。
小川:宇野グループ長に私がパムコビジョンを検討している時に、どういう方向性でこの事業・仕事をやっていきたいのか、福祉用具・販売で何を目指そうと思っているのかについて尋ねたところ、「会社からしたら何百人といる利用者さんかもしれないけれど、利用者さんからしてみれば私は1人。だから何百人といる利用者さんとは見たくない」と言われたんです。私はすごく感動しました。だからパムコの福祉用具・販売の営業員全員がそう思えるようにしたいですよね。
江口:そういう意味では軸はすごくしっかりしていると思っています。ニッケグループの一員になってから、体制はだいぶ変わっています。福祉用具・販売は船橋と江戸川に営業所を作り、訪問介護は1か所に集約、住宅改修も場所を変えながら事業推進し、しかも今回M&Aで新たにスクーデリアが仲間に入り、傍から見たらこの数年間で大きく変わってきています。しかしながら、パムコの軸は変化しているのかというと実は全然ぶれていない。いまおっしゃっていただいた姿勢で利用者さんに接していただいています。年末年始も助けて下さいとおっしゃる地域の利用者さんに対して、その人のために文書を作成、要望に真摯に向き合って対応しているケアマネージャーがいます。地域の人のためにお役に立ちたいと、きちんと対応している姿勢を少なくてもリーダークラスはみな持ち合わせている会社だと思っています。そこの軸は全くぶれない。事業体がどんどん成長していってもきちんと同じ思いで運営できています。私はパムコビジョンを作っている中でその様子がとてもよくわかりました。
今後のパムコ
江口:パムコは上司・部下の双方向コミュニケーションが取れている会社だと思っています。疑問に思うことを素直に聞き返しのできる環境、きちんと納得するまで話し合いができる会社だと思っています。また、ニッケグループ全体としてたくさんの事業を持っているので、そのようなところに出向して自分のやりたい仕事をみつけていただくことも十分可能であり、グループを取りまとめるリーダーにだってなれる。そういう意味ではフィールドはたくさん提案できる会社だと思います。
山﨑:小川さんはこれからのパムコをどんな会社にしたいという思いがありますか?
小川:ニッケの富田社長からは「従業員を幸せにしないといけない」と一貫して言われています。いまパムコは創意工夫で良い状況になりつつあり、それをスタッフの皆さんに賞与等の形で還元でき、とても楽しいですね。この循環はますます良いものとなると確信しています。地域を元気にできる存在でありたいですね。ケアマネージャーを中心に地域のセイフティネットのような、本当に介護保険の隙間を埋める努力をしているし、福祉用具も選定をしっかりやればリハビリを毎日しなくても利用者さんを元気にできるし、みんなが幸せになって地域も元気に。地域が元気になることであればパムコとしてどんどんチャレンジしていきたいです。
江口:職員が幸せでなければ利用者さんに絶対にやさしくできないと思っています。経営者がやらなければならないことは、まずは職員が幸せな気持ちになれること。それは給与面も含めた処遇を良くしないといけないし、研修にも力を入れているのでみなさんに多く受講して欲しい。そこで初めて自分たちも幸せになって、利用者さんにやさしくなれるんだと思っています。パムコはいまその形ができつつあります。是非ご応募していただければと思っております。